4 ミラージュ蜃気楼『死』は酷く現実的です。 驚くほど今の思索には沿いません。 現実感を伴わない哀しみに満たされます。 悲しみ? 哀しみ。 何かを失った哀しみなのでしょう。 虚栄心? 自尊心。 胸の中に空洞が拡がります。 何もない寂寥感。 侘しさでもなく、虚しさでもなく。 荒涼と拡がる寂寞感。 愛するものを失った哀しさはありません。 大切なものを失った喪失感もありません。 未だ失った実感がないのかも知れません。 それがどれほど大切なものだったのか。 淡い恋心。 報われることのない愛しさ。 刻と共に癒され、時に甘美な世界を映し出すミラージュ。 実体のない蜃気楼。 ただ言い様のない哀しみに満たされています。 虚無の中を彷徨いながら、刻の蜃気楼に惑います。 今は、哀しみの優しい襞に寄りかかってまどろみたい。 唯、まどろんでいたい。 それだけです。 ジャンル別一覧
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